483 :極上の時間U 1:2005/09/27(火) 01:29:16 ID:iAywftso 

顔が悪いと言うだけで不遇な扱いを受けていたベローネ高等部サッカー部のエースが、神からの恵みと言っても過言ではない『最高の憂さ晴らし』で 
その苦労を労って余りある遊びを興じて早2ヶ月にもなろうとしていた。すっかり心の傷が癒えた彼は、藤村に女が集っていようとも気にもせずに、 
好きなサッカーに打ち込んでいる。仲間との絆はそれを機に一層深まり、部活が終われば仲間が集まってファミレスで盛り上がっていた。彼にとって 
今まさに最高に充実した高校生活だろう。 
「……ポポォ……」 
一方、『最高の憂さ晴らし』の標的・ポポ畜…もといポルンはと言うと、花火の直撃を浴び、壁に叩きつけられて気を失った後にこのエースによって 
河原に放置して終わりにする筈だったのだが、何を思ったか仲間が悪乗りで草むらに置いてその上に脱糞、汚物を撒き散らした上で放置したのだ。 
ポルンの身体的なダメージは想像以上に高く、汚物まみれで酷く悪臭はしていたのだが放置されて二日は目覚める事は出来なかった。流石に王子とは 
言え、ハートフルコミューンが理不尽で説明不能な力で変形してパワーアップしたように『目覚める』ことは出来なかったようだ。三日目意識は戻った 
ものの、じめじめしていたのもあって体中の余りの悪臭、そして全身から来る激痛に動く事が出来なかった。特に折れたのか右腕が感覚が無かった 
のと、化膿しかかっている半分千切れていた右耳、花火の衝撃で引き千切られた尻尾、何度も爪先が食い込んだ腹……無意識に自分も汚物を漏らし 
てはいたものの、動く事が出来なかった。実はコミューンに戻る力も残ってはおらず、光の園の支援は皆無だったのである(もっとも、コミューンに 
変形して支援を要請されても、そのあんまりな状態に彼らは回避しようとするだろうが)。それでも生きているのだから、これは悪運としか思えない。 
放課後に、必死になって同じ方向を探していたなぎさとひかりに、ポルンの気をメップルが草むらの奥から感じ、あんまりの状態のポルンを発見したに 
至るのである。流石になぎさは咄嗟に口に手をやったが、ひかりは絶句してオロオロとしていた。 
「……誰が……誰が……」 
「ひかり!!そこの川でポルンを洗うんだ!!」 
流石に汚物を触るのは心底嫌だったのだろうが、上に乗っかっている妙に見事な汚物を草やボロ布で除去する。優しい手付きで洗うと彼女たちの目に 
そのポルンの状況が浮かび上がる。この状況は中学生の女の子にはショッキングなものだっただろう。 
「ひ……ひか…り……な…な…ぎさ………メ……メップ……」 
文字通り『虫の息』のポルンは、可愛らしい池澤的ボイスも無様なダミ声に変わっていた。直ぐに雪城邸に連れて行き、メップル・番人を通じて 
光の園の支援によってある程度の治療は施したものの、火傷の完治と尻尾、右耳の切断ははクィーンでない限りどうにもならなかった。

485 :極上の時間U 2:2005/09/27(火) 12:10:17 ID:iAywftso 

「……私は治癒専門だけど、魔法が使えるわけじゃない……処置は施したけど、この皮膚の治療と尻尾の治癒、右耳切断回避は私には出来なかった」 
パルプは心配そうに見つめているなぎさ・ほのか、ひかりに加えてミップルとメップルにこう伝えた。光の園の者の力ではこれが限界だったのだ。 
「右腕と胴体の骨がいくつも折れてるけど、そちらの方は平気だから大丈夫よ。一歩間違えたら腕は切断しなくちゃいけなくなってたかも知れないけど」 
こう付け加えると、パルプは光と共に光の園に帰っていく。このあまりにも有り得ない状況になんて言ったら良いのか三人と二匹は分からなかった。 
今は気を失っているが、目覚めたら地獄の苦しみが待っているだろう。言わば己の我侭が招いた自業自得そのものだが、それでも何と言うべきか言葉が 
見つからない。 
「ポルン遊ぶりゅりゅ〜」 
そんな時、最近新たにやってきたそんな空気お構い無しの遊びたい盛りの珍獣……もとい光の園の住人である自称『未来を紡ぐ光の王女』ルルンが 
ポルンと遊びたかったのか彼女等のいる部屋に入ってくる。 
「ルルン……今はポルンね、休まないといけないの。今は……そうね、一緒にゆっくり寝てなさい」 
ひかりが頭を撫でながらこう言うと、珍しく言う事を聞いてコミューンに変形してそのまま眠ってしまった。単純と言えば単純だが、彼らにとっては 
まさに不幸中の幸いだろう。 
「……ポ……ポポ……」 
そして来る、来るべき修羅場が。光の園の元の姿で寝ていたポルンは、夜になって覚醒すると、自分の身に起こっている状態にこの時気付くのである。 
サーッと血の気が引くと同時に、体全体……特に千切られた尻尾と切断した右耳、骨折して動かない右腕に激痛が襲った。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!ポギャァァアアアアアアアアアア!!」 
無意識に立ち上がった所為で、只でさえとんでもない激痛に苛まれるものに、さらに加重で倍の痛みを受けてその場でのた打ち回った。人間の大人でも 
絶対安静でいなくてはいけない状態で、子供の、温室でぬくぬくと育っていたポルンにこの激痛は耐えられなかった。幸い、雪城邸にはほのかの祖母の 
さなえは不在だったためこの叫び声は聞こえないで済むが、その日泊まったなぎさとひかり、そしてほのかは、修羅場がついに始まったと覚悟を決める 
のである。 
「うわああぁぁぁぁん!!うわあああぁぁあん!!!痛いポポオオォォ!!痛いポポォオオオォォ!!!」 

487 :極上の時間U 3:2005/09/27(火) 15:11:55 ID:iAywftso 

「うわああぁぁあぁああん!ひかりいいぃいいぃ!!ぽりゅんのおみみとしっぽがにゃいポポオオ―――――――――!!」 
ポルンの悲鳴と絶叫が雪城邸にこだまする。ここで初めて、自分の体が欠損している事に気が付いた。 
「からだじゅうが痛いポポオオオォォオオ!!!!うわあああああぁぁぁぁん!!うわああああああああああぁぁあん!!!」 
一度、なぎさの部屋で駄々を捏ねて泣いた時のように、体を左右に振りながらのた打ち回っている。じっとしていれば痛みもそこまではないのだが、 
のた打ち回るために、余計に痛みが増すのである。 
「ぽりゅんのおみみとしっぽかえちてポポ―――――――――――!!うわあああぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁあん!!!」 
見た事もないポルンの悲鳴と慟哭に絶句し狼狽しているなぎさとひかりに、ほのかはさっと声を荒げて、 
「なぎさっ!ポルンを押さえて!!私はロープとベットを取って来る!!ひかりさんはメップルミップルを起こして洗面器にお湯を注いで持ってきて!!」 
こう指示を出す。バタバタと三人は動き出し、雪城邸応接間はまさに修羅場と化した。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!ポギャァァアアアアアアアアアア!!」 
ほのかが土蔵から赤ちゃん用のベットと結束ロープを持ち出すと、なぎさと一緒にポルンを赤ちゃん用ベットにロープを括りつけ、二重三重にぐるぐると 
縛り始める。胴体の大きさが顔よりも小さいため、首を締めないように、折れた骨が食い込まないように、右腕が巻き込まないように慎重に気を使いながら、 
動かないように固定した。途中、酷く悲鳴をあげて暴れるものの、なぎさが必死に押さえているためなんとか括りつける事に成功したが、ポルンサイズの者に 
半時以上費やしたのである。この光景を起されたメップルとミップルも見ていた為、すっかり全身が震えてしまっていた。 
「ミップルは光の園に連絡を取って、パルプを呼ぶの。鎮痛剤のようなものでも打たれれば、一時的に楽になるでしょ……」 
未だ物凄い苦痛顔で首を左右に振っているポルンを見ながら、憐れみの目でほのかは言う。何度も言うように今回の一件は全てが全てポルンが自分自身で 
引き起こした事態だが、ドツクゾーンの者ですらここまでしないのに、たった4〜5日でどうしてこうなるのか、戦慄が彼女の頭をよぎるのだ。 
「鎮痛剤?了解―」 
パルプが極太の注射器でポルンの胴体を貫くと、先程までの苦痛顔が嘘のようにすやすやと眠りだす。顔中汗だらけだが、漸く落ち着く事は出来たのだ。 

494 :極上の時間U 4:2005/09/28(水) 02:03:43 ID:uZCz/wAp 

不安がよぎる中二ヶ月が経った。尻尾はどうしようもないが、耳だけはなんとか修復できたポルンは2ヶ月前の天真爛漫さは取り戻したようだ。尻尾がない 
おかげか何処となく動きにぎこちないが(この尻尾、実は自分の体重も支えられる)、ルルンにまとわり付かれている姿を見れば、元気を取り戻した物だと 
三人と二匹は一先ずポルンに対する心配の肩の荷は下りたわけだ。外見の可愛らしい姿だけは、どうやら取り戻せはしたようだ。 
「近くまで来たから、藤P先輩の姿を見に行こう」 
ラクロスの練習後高等部近くにいたなぎさは藤村省吾の姿を見ようとサッカー部に行くと、丁度色々な部の練習が終わった頃だろうか人通りが多く、前しか 
見ていない彼女は、不意に前を歩いていたサッカー部のユニフォームを着ている男子学生にぶつかって尻餅をついてしまった。 
「キャッ……!痛あぁ……もうっ!ちゃんと前見て歩きなさいよ!!」 
「?……何言ってるんだ、俺は避けたよ。前しか見てなかったのは君だぜ、美墨なぎささん?」 
なぎさがぶつかったのはそう、あのエースだ。エースが言ったとおり、彼は前しか見ていないなぎさを避けて歩いたが、なぎさが曲がってきてぶつかったのだ。 
そんな事を何も知らないなぎさは、藤村省吾よりも年上の彼に一方的に噛み付いたのである。 
「何よ不細工!自分の不注意を棚に上げて!!」 
なぎさは思わず言ってはいけない事を言ってしまった。 
「……おいコラ、もう一回言って見ろや美墨!?」 
ヤクザ顔負けの恫喝の響きがある一喝に、なぎさは一瞬記憶が飛ぶほどの狼狽感で、指一本動かせなかった。このエース、傍から見れば温厚そうに見えるため、 
なぎさはちょっと舐めてかかったのだろう。だが、思いもよらない『凄み』にたじろいでしまった。ドツクゾーンのどんな敵よりも、恐ろしかった。 
「!?……せ…先輩!すみません、その子自分の知り合いの子で……申し訳ないです」 
そんな只ならぬ気配を感じたのか、藤村がダッシュで駆け寄ってくる。 
「ああ、君が悪いわけじゃないからいいよ。美墨、ここは藤村の顔を立てて許すが、次そんな雑言吐きやがったらその分には捨て置かんぞ」 
エースはこう言い置くと、そのまま校舎に消えていく。場に残ったなぎさは、そのままへたれ込んでしまった。 

497 :極上の時間U 5:2005/09/28(水) 14:38:29 ID:uZCz/wAp 

「はあぁあぁあぁぁ……とどめとばかりに女の子から面と向って不細工と言われるとは……泣けるぜ……」 
なぎさの一言に酷く傷ついたエースは、部員の喫茶の断り一人で帰宅の途についた。サッカー部員は何故かイケメンと言われるような者ばかりで、 
正直居場所がないのだ。それでもサッカー部に居るのは、純粋にサッカーが好きだからである。それ故、先程のような暴言は心に突き刺さるのだ。 
帰宅途上に公園を通る彼は、とりあえず気分を取り戻す為に缶コーヒーを買って、ベンチに座って飲もうとしたときである。 
「ルルンとまだ遊ぶルル〜」 
「……助けてポポ……」 
学生の目が急に見開く。目の鼻の先に見覚えのある生き物が横切ったのだ。ポルンとルルンである。大方、遊びたい盛りのルルンが『TAKO CAFE』 
近くでは遊べないため、ポルンを連れまわしているのだろう。 
「………」 
そんな光景を目にしたエースは、心中でこんな考えが巡る。確かポルンは可愛いが世間知らずな九条ひかりのペットである。その九条ひかりの友達に 
……まったく神様と言うのは、意地悪なんだか優しいのだか、分かったもんじゃない………!! 
「―――――…………ふ………」 
まだ夕暮れ時だが多少視界が利かないほど暗くはなるので、二匹は彼に気付かずに遊んでいる。持ち前の運動神経を駆使し、音を鳴らさずに慎重に 
進む様はまるで暗殺者だ。射程距離に入った刹那、ルルンの耳のアフロの部分をしっかりと鷲掴みにし、自分の目線まで持ち上げた。 
「ル……ルル――――――――――――――――!!?」 
「ルルン!?……ポポポオオォォオォオオォ!!?」 
行き成りの事態にルルンを見上げると、ポルンの毛や耳が一気に逆立った。そう、記憶力が健忘症並みのポルンでも、自分を大変な目に合わせた者 
の顔はしっかり覚えているようだ。 
「こんばんわ」 
万弁の笑みのエースの表情に戦慄が走るものの、ポルンはぽこぽこと彼の靴を叩く。 
「ルルンを放すポポ!!放すポポ!!」 
「こんばんわと言われたら、挨拶を返すのが礼儀でしょうポポ畜……!!」 

499 :極上の時間U 6:2005/09/28(水) 18:33:24 ID:uZCz/wAp 

爪先でちょんっと突付かれると、ポルンはそのまま後ろに流れるようにコロンと倒れる。そこを脚で踏みつけるのだ。 
「卑しくも『王子』と名乗るのだから、それぐらいの礼節があっても良いのではないのか?」 
「オポポポポッボボボオオ―――――――!」 
ぐりぐりと踏みつけながら、鷲掴みにしたルルンに目が行く。ピンク色の毒々しい色とフォルム、今にも泣き出しそうなその状態は、恐ろしく加虐心 
をくすぐるのは仕様だろうか。特に問答する事もなく悲鳴を上げる二匹を彼はバックに詰め込み『お持ち帰り』すると、さも何事も無かったかのように、 
公園を後にしたのだ。まさに二ヶ月前と同じように。 
『明日はお祭りです。皆さん準備を怠らないようにね』 
仲間に一斉にメールを送る。これが何を意味しているのかは、既に暗黙の了解だった。 

「ホント、怖かったよ〜……ドツクゾーンの連中より遥かに怖かったね……」 
「それはなぎさが悪いんだって……『不細工』なんて、誰が言われても怒るよ……」 
科学部が終わったほのかと合流したなぎさは、先程の一悶着の話をしながら『TAKO CAFE』に向っていると、公園からひかりが血相を変えて走ってくる。 
「あ…あれ……どうしたのひかり」 
「なぎささん!ほのかさん!ポルンとルルン見ませんでしたか!?」 
まるでキャラクターが違うと思う程必死なひかりに唖然とする二人だが、二ヶ月前の惨劇が脳裏に過ぎる。尻尾が千切れ、右耳が半分千切れて化膿し、 
右腕が折れた無残な姿で河原で発見され、その治療に酷い修羅場を味わったあの惨劇を。 
「い…いや、見なかったけど……居なくなっちゃったの!?」 
「え…ええ……『TAKO CAFE』でお仕事していた隙に居なくなってしまって……何時もはコミューンになっていてくれるのですが……」 
三人は顔面蒼白になり、周囲を必死に探索を始めた。その悪夢が現実のものにならないように……。 

514 :極上の時間U 7:2005/09/29(木) 08:35:42 ID:jVBlY94q 

三人が必死になって探しているのを尻目に、エースはさっさと自分のテリトリーに戻って気の合う仲間と喫茶店に入る。2ヶ月前に『最高の憂さ晴らし』を 
提案した悪友であり、無二の親友だった。 
「……そりゃ災難だったね……今の女は平気でそう言う事を言うからなぁ」 
「まったくだよ、自分からぶつかっておいて『不細工』だぜ?」 
アイスコーヒーを注文すると、他愛もない世間話に花を咲かせる。やはり彼にとって、サッカー部の面々と居るよりも、こういった親友と居るほうが楽しい 
のであろう。なぎさの暴言もただの他愛のない世間話に出来る位なのだから。 
「ところでこいつを見てくれ、こいつをどう思う?」 
そしてバックから、ぐったりしているポルンと、今にも泣き出しそうなルルンをバックから出した。 
「これはポポ畜だな……尻尾無くなっているけど生きてるな………おい、なんだこのピンクの珍獣は!?」 
「新種かね……このポポ畜とじゃれあっていたから、一緒にお持ち帰りしてきた……おい、お前名前は何て言うんだ?」 
エースに後頭部を軽く小突かれると、今にも泣き出しそうな声で、 
「……『未来を紡ぐ光の王女』…ルルン……ルル……」 
そう答えると、また一瞬シ――――――――ンと静まり返った。多分このポルン二つ名『未来に導く光の王子』よりもグレードの低い二つ名か、そのまま名前を 
名乗ると思ったからである。 
「ギャハハハハ……オイオイ聞いたか?」 
「ヒャヒャヒャ…予想を越えたなあ……」 
まさか『未来を紡ぐ光の王女』等と予想を遥かに超越した答えを言われるとは思わなかった彼らは、ゲラゲラと大爆笑を始めた。ルルンも多分ここまで自分の 
称号・二つ名を小馬鹿にされた事などなかっただろう、笑われたルルンは今にも泣きそうに瞳に涙を貯めていた。 
「りゅ…りゅりゅ……」 
「あん、王女……てことはこいつは女…なのか……ちょっと借りる」 
そう言うと彼はバックにルルンを入れると、そのままトイレに入っていった。エースは正直嫌な予感もするが、ここは敢えて何も言わず彼を見送る。ポルンは 
そんな光景を手を伸ばす仕草しか出来なかった。

520 :極上の時間U 8:2005/09/29(木) 20:03:39 ID:vYRUDRMP 

――――20分後。 
少し汗ばみ、やけにすっきりとした顔で友達はエースの座っている席に戻ってくる。見ると、バックに入っているルルンはずっと咳き込んでおり、ほのかに 
男特有の、『した』後の残滓の芳しい臭いが漂ってくる。多分、辛抱たまらず口内にぶちまけたのだろう。エースは物知り顔のにやけた顔でこう言った。 
「お、おい、お前まさか……」 
「こいつの口でね。中々具合良いぞコレ……飲ましちまったしね」 
満足げに答える友達に、やっぱりかと言いたげな表情でエースは見つめる。そこに着眼する人間は、間違いなくこいつ位だと思うのだ。 
「来た―――特殊性癖、お前そういうの好きだもんなぁ……買ってるエロ漫画も……そのなんだ、獣姦やら獣少女とか……」 
「そうねぇ……こいつが一応『知的』生物だからな……まぁ今晩借りるわ……このルル畜」 
友達がこう言うと、ルルンは心底嫌そうな顔で顔を左右に振る。する事も嫌だが、ポルンとも離れたくないのだろう。 
「げほっげほっげほっ……りゅりゅんヤダ―――!!ぽりゅんと一……るるりゅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」 
否定するルルンに、エースのハンマーパンチが後頭部よりクリーンヒットする。 
「いいんじゃね?だがヤり過ぎるなよ?」 
「ふふふ……そこまで絶倫じゃねぇよ、俺は」 
頭を押さえて悶絶しているルルンを心配そうに見ているポルン。心底怖くて嫌だったが、 
「ルルンをいじめちゃだめポ……オポポポポッボボボオオ―――――――!!!」 
「黙ってろポポ畜!」 
勇気をもって言って見るも床に叩きつけられた挙句、革靴で思いっきり踏みつけられた。だが、友達は少しそこで止めに入る。 
「あ――待った待った、そいつの王冠プリーズ」 
「ん?」 
「そいつの王冠ね、フィギア作ってるゲンさんが3万で買い取ってくれるんだよ。純金だそうで、大きさ的にもフィギアにフィットするんだってさ」 
ポルンにとっては心底恐ろしい発言。王族の証でもあろう王冠を取り上げられるのだ。

525 :極上の時間U 9:2005/09/30(金) 01:50:40 ID:/QhSBOYX 

「フィギア職人のゲンさんがねぇ……ああ、あれか……オリジナル限定モデルのフィギアか……あの王冠このポポ畜のものだったな」 
二ヶ月前、あれだけの『熱』攻撃にまったく摩滅しなかった王冠を取り上げてから、彼らはこのポルンを放置した。後にその美少女フィギア職人の 
ゲンに持っていったところ、これが軽くて丈夫、しかも小さくて純金と言う事でフィギアに転用できる事を知ったのだ。 
「ポポオォ!?」 
恐ろしく感じたポルンは踏みつけられたままだが急いで王冠を取ろうとする。が、横に転がっているポルンの王冠をまるで神速でエースが拾うと、 
さっと友達に手渡した。ここでポルンが回収しても、どの道隠しようがない為、力づくで取り上げられてしまうのだろうが……。 
「『ぬかに釘』『豆腐にかすがい』『暖簾に腕押し』(全て無駄という意)……そういうこった」 
「うわあああぁぁあん!!ぽりゅんのおうかんかえちてポポ――――!!かえち……ポポ―――ッ!!ポギャァァアアアアアアアアアア!」 
声を上げた途端、別の脚がかかとでハートの模様が可愛い耳をまるで『ギロチン』の如く踏みつけて床を擦ったのだ。しかもその部分は、二ヶ月前に 
化膿が酷くて切断を余儀なくされた部位で、今は光の園の力に於いて説明不能な力によって化膿をと除去、再接合したもので、激しい衝撃さえ与え 
なければ殆ど痛覚はないが、それでもまだ、不安定な状態だったのである。また、ポルンが喫茶店で大声の悲鳴をあげていても、実際は周りにあまり 
聞こえてはいないし、彼らの仲間ばっかりで回りも気にもしないのだ。実際、ポルンが声を上げても、喧騒にかき消されてしまう程度の物だった。 
「何度教えたら分かるのですか。そうやって 醜 態 晒 し た ら 体 潰 す っ て !!!」 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!わかったポポ―――!!わかったポポ――――!!!」 
根元をかかとで抉るように踏まれているため、ポルンは地獄のような苦しみを味わう。いつものような、子供の特権を最大限に利用した低脳な表情は 
完全に沈黙した。 
「まぁま、明日の『お祭り』に差し障りのないようにな。ここで動けなくなってもつまらないだろ?」 
「それもそうだ」 
友達がエースを諌めると、彼は同調してポルンの耳を抉るのは一時止めた。『祭り』と聞いて少し安心したような表情を浮かべるポルンだったが、 
それは翌日、絶望の色に変わるのだ。

528 :極上の時間U 10:2005/09/30(金) 17:04:20 ID:/QhSBOYX 

翌日の日曜・午後2時。 
部活が終わったエースと合流し例の廃工場に全員集合した彼らは、ポルンとルルンを囲むように立っている。ポルンは元より、ルルンのあまりの毒々 
しさに一同少々畏怖の感覚も覚えるが、ルルンの二つ名と性別を知ると、『いじめて君』のように、弄りたくて仕方がなくなるのだ。ポルンは首輪を 
付けられ、ルルンはティアラを取り上げられた上に少々ぐったりとしていた。言わずもかなエースの親友が朝方までシモの世話で弄り倒したからである。 
「やりすぎた?」 
「ああ、あんまり気持ち良いんで、口だけで3発も」 
何とも上機嫌な友人に半ば呆れ気味にこう聞いた。昨日別れる時から少々嫌な予感もしたが、嫌な予感はそのままストレートに当たったわけだ。 
「でも、今回の『祭り』の手抜かりは無いね。中々面白いものを見れると思うぞ」 
にやけ顔でエースに親指を立てる仕草をすると、こう言いきる。この男二ヶ月前も準備したものが完璧だったためその辺りの心配は無いが、逆に 
どんな趣向を用意したのかわくわくしている。 
「ポポ……」 
一方のポルンとルルンはと言うと、二匹が寄添って震えている。取り分けポルンは脳裏に二ヶ月前の素敵な思い出が浮かび、身震いしていた。だが、 
『祭り』というフレーズに期待を持つと言うあくまで能天気なものだった。 
「さぁ『祭り』を始めましょうか。ルル畜を風船で吊るせ」 
そう言うと十数個の風船にルルンを括りつけ手を放すと、ルルンの小さい体が宙に浮く。 
「ぽりゅん〜!ぽりゅん〜!!」 
「さてポポ畜、『お祭り』の始まりだ。俺たちは手を出さないが今から20分の内に奥から走り、ルルンに触れたらポルンの勝ち。そのまま帰してあげる」 
エースの友達が今回のルールを説明をされる。だが、ポルンは突然友達とエースに噛み付いた。 
「うしょちゅきポポ!ぽりゅんをだましたポポ!!そういってだましたポポ!!」 
そう言われるとエースはカッとなり、耳を握り締めながら、ポルンに面罵する。 
「騙しただと……!?ふざけんじゃねぇ……約束もなにも、その前にてめぇがノックアウトしただろうが!!」 
「構わん……本来なら『約束』通り手は出さないと思ったが、存分に撃ってやれ」

534 :極上の時間U 11:2005/10/01(土) 01:14:40 ID:NK2VRFTR 

「ではみなさん、少々ルールが変更しましたが準備は如何?」 
友人がこう言うと、場にいる面子がM16の改造エアガンを高々に持ち上げながら『オ―――!』と一斉に声があがる。それを聞いたエースが、ポルンの 
耳を握り締めながら場にいる面子に向って、 
「キックオフです!!」 
「オポポポポッボボボオオ―――――――――――――――――!!!」 
と、キーパーがフィールドにボールを蹴りだすかのごとく、まるでポルンをボールのように蹴った。不自然にくの字に曲がりながら、放物線を描くように 
端に飛ばされていくポルンの姿は何とも無残なものだった。 
「ポギャ!!」 
ベチャッという妙な効果音を工場内に響かすと、二分程のた打ち回った。ポルン自体の大きさが小さいために吹き飛ばされても空気抵抗で無事なのだろうが、 
それでも無事なのは、いかにゴキブリなみの生命力を持っているかの証拠と言えよう。 
「あ、ポポ畜言い忘れてたけど、3分毎にルル畜の真下からロケット発射するから、急いだほうがいいよ。落ちたらその場で終了だし、死ぬかも」 
友人はポルンを煽るのだが、流石のポルンも頭を振って起き上がるのが精一杯だった。しかしそれに一分時間が経過し、バラエティ番組で流れるような、罰 
ゲームの効果音を男子学生たちは綺麗に揃えて口ずさむ。待ってましたと言わんばかりに、 
「3分経過―――ロケット花火の発射お願いします!!」 
友人がそう言うとルルンが釣られている真下にビンをセット、男子学生たちが一斉にロケット花火の導火線に火をつける。直ぐに火が導火線を伝わると、 
けたたましい音と共に真上に発射したのだ。ルルンにこそ直接命中しなかったものの、耳をかすり横の風船を3個程割った事は、ルルンを恐怖のどん底に 
落とすだけの十分な威力を持ち合わせていた。ここで使われているロケット花火は笛ロケット花火に、決めで破裂すると言う凶悪なもので、軌道に現われる 
火花の量も、突進力も爆発力もロケット花火中最強なものだった。 
「ぽりゅうぅ〜〜ううぅ〜〜!!りゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 
一度仕事の邪魔と言う事で、なぎさに預けられた時にポルンがいなくて大泣きした以上に泣き叫んだ。 
「ほらポポ畜、早くしないとルルンちゃん死んじゃうかもよおぉ〜〜!?」 
けらけらと笑いながら、男子学生達も面白がって未だスタートすらしていないポルンを挑発した。 

542 :極上の時間U 12:2005/10/01(土) 17:29:08 ID:NK2VRFTR 

「ポポポポポポポポポポ………」 
ルルンを助けるためなのか挑発に乗ったのか真意は分からないが、兎に角ポルンは走り出した。小さい事とちょこちょこ動く為、学生達は射撃は控える。 
「……そろそろか、みんな準備しろ」 
友人が周りにだけに聞こえるような声で喋ると、学生達は一斉に銃口をポルンが居るであろう方向に向けた。 
「ぽりゅんをいじめちゃだめりゅりゅ……りゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 
そんな様子を察知したのかルルンが声を上げるものの時既に遅し。 
パパパパパパパパパパパパンッ!!!!! 
「ポポポ……ポポ―――ッ!!ポポ―――……ポギャァァアアアアアアアアアア!あちゅいっ!あちゅいポポっ!!」 
すっと脚を踏み込むその刹那、足元でおよそ一箱分の爆竹が破裂する。音も凄いがその激しさにポルンの悲鳴も凄かった。だが爆竹の破裂に右往左往する 
ポルンに更なる災難が降りかかる。ポルンは気が付かなかったが、直ぐ真後ろにもう一つトリガーがあり、そのトリガーを踏んだ事により左右から物凄い 
勢いで火炎放射されたのだ。何の変哲も無い鉄の筒が、行き成り火炎放射器になったその様は、文字通り火炎地獄そのものだろう。 
「よーしっ動きが止まった!!みんな一斉射撃だ!!」 
ここぞとばかりに友人は号令する。M16改造エアガンの最低有効打撃射程距離まで近接すると、BB弾の雨を炎と爆竹にのた打ち回るポルンにまさに 
容赦なく浴びせ掛けた。M16の破壊力は『T』で述べた通りだが、組織的に動いているだけそのダメージはポルンにとって悪魔そのものだろう。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!!ポギャァァアアアアアアアアアア!!痛いポポ――ッ!!あぢゅいいいぃぃ!!あちゅいポポっ!!」 
開始してからまだ5分程しか経っていないものの、ポルンの可愛らしい白と緑のツートンカラーのマスコットの容貌が、所々赤色の水玉模様と、パンダの 
如く黒い火傷の染みの姿、首周りの緑の可愛い髪の毛は焦げてしまった。 
さながら地獄絵図にも近い状況だが、炎と爆竹が収まると学生達は何事も無かったように追撃せずにルルンの居る場所まで下がってしまう。 
「うえぇ〜〜ん!うえぇ〜〜ん!!あちゅい……あちゅかったポポ……」 
体を摩りながら、ポルンは物陰によろよろと隠れる。流石に火炎放射を浴びたポルンは直ぐには動けなかった。 
「6分経過―――ロケット花火の発射お願いします!!」 
しかし、時間の経過は非常に冷酷だ。ダメージを回復する間もなく、6分が経過してしまったのだ。

555 :極上の時間U 13:2005/10/02(日) 01:21:07 ID:9tats2fa 

「りゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!りゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 
友人の号令とともに、ペナルティのロケット花火を宙に浮いているルルンに向って発射、そのうち一発がルルンの目の前で破裂する。目に入ったのか、 
手足をバタバタして空中でのた打ち回った。外れたロケット花火もけたたましい音と共に上昇し、ルルンの生命線とも言える風船を幾つも割ったのだ。 
『祭り』開始から考えると、自然に割れたものも含めてゆうに半数の風船を失った事になる。 
「ポポポポポポポポポポ………」 
既に絶望の状況ながらポルンは健気にも体を擦って痛みを和らげ、ルルン目掛けて走っていく。学生達に気取られないように避けて避けて走る様は、 
頭で考えた戦略ではなく、最早いちかばちかの本能による行動なのだ。 
「………………ククク……」 
「ポポポポ…ポ……ポギャァァアアアアアアアアアア!!おめめががああぁぁぁああ!!ぽりゅんのおめめがああぁぁぁああ!!!!!」 
なるべく学生を避けようと走っていたポルンだったが、黒い服を着ている学生までは気が付かなかった。ずっとライフルで狙いを定めていた男子学生が、 
物陰に隠れて立ち止まった所に狙撃、スコープの威力もあってかポルンの右目に直撃する。クセなのか何時も左耳を盾のようにする仕草をするために、 
ライフル用弾丸をもってしても顔面に直接命中する機会は少ない。空気抵抗を受けやすいこの弾丸である程度射撃の訓練を受けても、これを命中させる 
のは簡単ではない。因みにこの狙撃手は趣味で射撃をしており(あくまでエアガンだが)、こういった小さい的に当てるのを至上の喜びと感じている。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!!ぽりゅんのおめめがああぁぁぁああ!!!!!」 
一方右目に人間でも痣になる直撃弾を浴びたポルンは、崩れ落ちるように倒れると、その場でもんどりうって激しくのた打ち回った。二ヶ月前にも目に 
命中しているが、今回ほどのダメージではなかった。潰れるように命中したわけではないが、弾丸の機動が軽くポルンの眼球を『擦った』のだ。地獄の 
苦しみを味わい、ゴロゴロと転がりながら地面でのた打ち回り磁器の小さ器の上に乗っかり中に入っている液体を浴びて、ぬるぬるになりながら尚も 
のた打ち回るのである。 
「うえぇ〜〜ん!うえぇ〜〜ん!!ぽりゅんのおめめ開かにゃいポポ!痛くて開かにゃいポポ……!!」 
ボロボロと涙を流してポルンはダンゴムシのような姿で叫んでいた。

583 :極上の時間U 14:2005/10/02(日) 14:18:00 ID:9tats2fa 

「うえぇ〜〜ん!!うえぇ……ポギャァァアアアアアアアアアアアアアア!!」 
ダンゴムシのような状態で泣き叫ぶポルンに、ライフルの再装填が済んだ男子学生狙撃手が元は尻尾が『あった場所』に狙いを定めて狙撃、見事に命中 
すると、あまりの激痛にまるで漫画の様にぴょ――んと跳ね起き、更にもんどりうって頭から転ぶ。もうどうしたら良いか段々と分からなくなっている 
ポルンはただただ右往左往するしか出来なかった。 
「……あ…ああ……ひ…ひかりぃ……」 
だがそんな時片目が見えてはいなかったが、目の前に『九条ひかり』の等身大POPパネルが現われた。写真ではあるものの写り方等は完璧で、写真特有 
の不自然さは一切無く、遠目で見るとそこに九条ひかりが本当居るようにも見えてしまう程のクオリティだった。何故このような物が用意されているかと 
言うと、エースが九条ひかりとこのポルンの関係を知っていたと言うのと、高等部でもひかりは色々な意味で話題で、世間知らずだが容貌は確かに美人で 
ファンが多く、頼むと写真を快く一緒に写ってくれる。加えてあえて詳細は書かないが、『写真』自体が夜のお供にと大活躍だからだ。 
【ポルン、一緒に帰りましょう】 
「ひ……ひかりぃ……ぽりゅんかえるぽぽ……」 
こんな所に九条ひかりが来る訳は無いのだが、前後不覚のポルンが等身大POPパネルを本物と見間違えたのと、ポルンに聞こえる彼女の幻聴、藁をも 
掴むほどの絶望さに思わずこの等身大パネルに近づき、胸に飛び込んでしまった。 
「ひきゃりいいぃぃ……ポポ?……なんでぺしゃんこににゃるポポ……?」 
厚紙を利用して作られたPOP、ポルン程の体重でも耐える事は出来ない。それを胸に勢い良く飛び込んでしまったのだから、ぺしゃんこになるのは当然 
の事だろう。 
「ポ…ポポ!?ひきゃりが燃え……ポギャァァアアアアアアアアアア!!ぽりゅんも燃えてるポポ――――――――!!!!!」 
ぺちゃんこになると同時に勢い良くひかりPOPが火に包まれる。驚いたポルンはさっと離れるものの撫でられるように炎が被ると、今度はポルン自身が 
炎に包まれる事になる。 
「にゃんで!?にゃんでぽりゅんまで……あぢゅいいいぃぃ!!あちゅいポポっ!!」 
先程ポルンがぬるぬるになった液体、実はエタノールと油だった。これで全身濡れているポルンに火が回って火だるまになったのだ。

597 :極上の時間U 15:2005/10/02(日) 19:37:16 ID:9tats2fa 

スタントか何かと思えるほど綺麗に火だるまになっているポルンは、絶叫しながら辺りを駆けずり回る。もしこうなった場合、地面を転がれば済む話なの 
だが、温室でぬくぬくと生活していたポルンにはそこまでの判断力と知能が回らなかったのだろう。 
「あぢゅいいいぃぃ!!ぽりゅん燃えてるポポ――――……ポギャァァアアアアアアアアアア!!!!」 
前後不覚のポルンは、絶叫と半狂乱で仕掛けられたトリガーを踏みつけ前方から火炎放射を浴びた。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!!ポギャァァアアアアアアアアアア!!」 
さらに半狂乱で辺りを駆けずり回ると新たなトリガーを踏みつけ、『ドラゴン花火』が地中から勢い良く吹きだした。尻尾が引き千切られた傷痕に、さらに 
先程の狙撃で痣になっている場所に根元から花火シャワーを被ると、もはや動物の声とは思えないほどの絶叫が工場内を響かせるのだ。火だるま状態のまま 
駆けずり回り、火の付いていない爆竹や火薬その他諸々の花火に引火させて余計なダメージを『自ら』被っているのである。 
「ポギャァァアアアアアアアアアア!!ポ…ポポ……!?オポポポポッボボボオオ―――――――!!!!」 
そして最後、工場中央に出たところで最後のトリガーを踏みつける。それは2ヶ月前、エースがポルンに直接引導を渡したあの家庭用極太打上げ花火の点火 
スイッチを勢い良く踏みつけて数秒後まるで艦砲射撃のような勢いで花火が発射、火だるまポルンを飲み込みながら、工場奥まで吹き飛ばした。 
「ぽりゅうぅ〜〜ううぅ〜〜!!りゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 
パチ…パチパチ……パチパチパチパチ……………… 
学生達は言葉を発するのをしばし忘れ無言で拍手を送る。見事なまでの即席芸術、まさに空間芸術。カラフルの色合いが寂れて暗い、廃工場を綺麗に染め 
上げるのだ。そして次第に打上げ花火が収まり、場に白煙だけが残る。 
「皆さん今回の『悪代官』遊戯は大成功に収まりました。おかげで良い憂さ晴らしになりました」 
『悪代官』というのは『グローバル・A・エンタテインメント』が発売した実在するゲームで、プレイヤーが悪代官になって自分を守るために用心棒や罠を 
フィールドに仕掛けて迫り来る時代劇ヒーローを撃退するゲームである。実は前回とは異なり、ポルンを『攻撃』する手段はM16以外は罠で行こうと友人 
が決めていた。ここまで見事に連鎖がきまり、引導を渡すなどここに居た面子は誰一人予想していなかったのだ。 
「では皆様、最後にお願いします――…いーっち、に――、さんっそれダ――――――――――――!!!!」 
学生達が合わせて拳をあげると一斉に拍手が起こる。全員さわやかな顔で握手しあっていた。 


598 :極上の時間U 16:2005/10/02(日) 20:18:47 ID:9tats2fa 

「ぽりゅうぅ〜……」 
ポルンが火だるまになり吹き飛ばされた姿を目の当たりをしたルルンは、最早全身震えてまともな言葉すら出なかった。本能的に危機を感じたのだろう。 
「なぁ、こいつの口……そのなんだ……」 
「気持ち良いよ。時間もあるから、皆で試してみろよ」 
物凄い下品な会話が飛び交うと、学生の一人が実際にズボンを下ろし、おもむろにルルンの口に自分の陰茎を突っ込んだのだ。突っ込んで数分、学生の 
表情が恍惚の表情を浮かべるのだ。 
「……いいのかい?あんな狂乱の宴」 
「いいっていいって時間あるし。それよりも、戦果の方が気になるでしょ」 
エースは下品極まりない宴にこう言うと、友人はエースをエスコートするように工場の奥に連れて行く。工場の奥には今はすっかり消火されていたものの、 
プスプスと白煙を上げながら無様な姿を晒していた。ポルンの全身に及ぶ赤い水玉と火傷で真っ黒になった背中、緑の髪の毛は綺麗に全て焦げて、ハートの 
可愛い耳はすすと皮膚が焦げて真っ黒になっていた。四股は無事だがここまで火傷が酷いと、どのみち最悪切断も避けられないだろう。 
「流石に火だるまになると、あの『マスコット』でござい、という容貌は見る影ないね。ざまあみろだ」 
「まったくだ……でもなにかやり足りないな……そうだ、このペンで……」 

「感じるです感じるです、ポルンとルルンを感じるです!」 
それから3時間が経過した頃だろうか、疲労の色が伺えるなぎさにほのか、ひかりが美墨宅でぐったりしているところに、窓から蝿…もといハーティエルの 
シークンがこう言って飛んでくる。 
「ポ…ポルンを感じるですって!?すぐに案内して!!」 
先程までの疲労困憊の姿と打って変わった必死な表情で、シークンの飛んでいく方向に全力疾走する。小一時間ほど走った河原だろうか、雑草の生い茂った 
奥まで行くと、不自然に整った場所がある。そこに出ると、三人は驚愕な表情を浮かべた。 


599 :極上の時間U 17:2005/10/02(日) 20:21:06 ID:9tats2fa 
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600 :極上の時間U 18:2005/10/02(日) 20:27:44 ID:9tats2fa 

倒れているポルンに見事なまでの人糞が乗っかり、額のダイヤとハートの可愛らしい文様の所に、黒い油性の 
サインペンで太く大きく『肉』と書かれており、腹には『ダメ鼠、ここに眠る』と書かれていた。 
ルルンに至っては額に『犬』とかかれた上に、後頭部には『精液便所』と書かれた挙句、体を地中に埋められていた。 
さらに、顔は臭い立つほどの白濁液まみれにされていたのだ。 
「…………」 
もはや三人は何もいえなかった。この二匹の惨状に………。 
                                                       終劇 
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